古代エジプトではテーベと呼ばれ、中王国,新王国時代には都として繁栄を築いた古代エジプトの中心地。 ナイル川を挟んで東岸と西岸に分かれるこの街は、古代エジプト人の価値観が映し出され、「生の都」と呼ばれる東岸には、歴代のファラオ達が多くの巨大建築物を建てた。 また、「死者の都」と呼ばれる西岸には、そのファラオ達が死後、眠りにつく地となっていた。 今でも数多くの遺跡が残るルクソールは、世界最大の野外博物館と呼ばれ、多くの観光客が訪れる地となっている。
■ カルナック神殿
いくつかの神殿から成るカルナック神殿。なかでもアメン大神殿は、古代エジプト最大級の規模を誇る。
スフィンクス参道から中庭を通り、そびえ立つピヌジェムとラムセス2世の巨像、さらに続く134本もの大列柱群がこの神殿のハイライト。1つ1つに細やかなレリーフが施されている様は、まさに圧巻の一言。とにかくスケールの大きさに驚かされる。
■ ルクソール神殿
ルクソールの街のほぼ中心に位置する神殿。
もともとはカルナックにあるアメン大神殿に付随する神殿として建てられ、スフィンクス参道で結ばれていた。
複数のラムセス2世の巨像と、神殿内に描かれたレリーフが見どころ。
さらには神殿の中心部にはガーマが存在する。もともとここに建てられていた2本のオベリスクのうち、1本は現在、パリのコンコルド広場に建てられている。
■ ハトシェプスト葬祭殿
新王国時代第18王朝の女王、ハトシェプストが建てた葬祭殿。遠近法により計算された3層のテラスに加え、背後にそびえる大きな岩壁を借景し、葬祭殿の大きさをさらに強調する造りとなっている。
かつてのファラオが東岸に建てた神殿とは異なる、女性の優雅で美しいデザインが見どころ。
内部のレリーフには、公開を出発する5艘の船が描かれており、当時ソマリアにあったプントという王国との交易が描かれているのも非常に興味深い。
■ 王家の谷
新王国時代に造られた岩窟墳墓群。現在は60を超える墓が発見されており、その墓の一部は、内部も見学することが出来る。
内部の保存状態により展示の有無が左右されるが、色鮮やかな壁画が残るラムセス1世の墓や、巨大な石棺があるラムセス4世の墓、古代エジプトの宇宙観が描かれたラムセス6世の墓が見どころ。ツタンカーメンの墓から出土した貴重な装飾品の数々は、現在、カイロの考古学博物館の2階に展示されている。
■ メムノムの巨像
ルクソールの西岸を渡り、のどかな田園風景に突如として現れる2体の巨像。
これは新王国時代絶頂期のアメンホテプ3世のもので、高さは19mもある、かつてはここにも葬祭殿が存在したが、現在ではこの2体の巨像のみが、当時の繁栄を静かに物語っている。