ダイブナビ

アイスランド・シルフラ特集
100mを超える透明度を体験!
ここが大西洋の始まる場所を潜る

透明度世界一、で検索すると主にバイカル湖や摩周湖の名前があがってきます。
そもそも透明度とは「透明度板」と呼ばれる白色の円盤を沈め、肉眼で認識できる限界の深さを表したもの。
ダイバーがよく使う、水平方向でどこまで見えるか?で使われる「透明度」とは少々違います。
この世界一の透明度の数値を見てみると北海道の摩周湖で41.6メートル(1931年8月測定)、
バイカル湖で40.5メートル(1926年6月測定)。
なかなかの透明度ですが、近年は公的な測定がなされていないのか、相当昔の結果しか出てきません。
が、しかし、ランキングには一切登場しないものの、
ダイバーで言うところの透明度が100mを超える驚異のクリアウォーターポイントがアイスランドにある。
それが「シルフラ」。他のダイブポイントとは全く異なる独特な景観、潜り方を紹介しましょう。
写真/広部俊明 ダイブナビ 文/大野幸隆

太平洋がゆっくり広がる地球の裂け目

太平洋がゆっくり広がる地球の裂け目

そのまま飲むこともできるクリアウォーター
「シルフラ」がある場所はアイスランドの首都レイキャビクから車で40分ほど走った場所。 世界遺産にも登録されているシンクヴェトリル国立公園の中にある天然の湖のことを指す。
この場所はちょうど北米大陸プレートとユーラシア大陸プレートの境目になっていて、 年間約2㎝ほどづつ広がっています。 広がりの先にあるのは大西洋。そう、ここは海が徐々に拡大している 最初の切れ目の間となっている場所なのです。
その「切れ目」を潜るわけだが、ここに満たされている水は 何十、何百年かけて氷河の雪解け水が岩の間を染み出してでてきた淡水。 じっくりと濾過された水は不純物をほとんど含まない。年間を通して水温2~3°と 安定しているため微生物の発生も少なくクリアな状態を保っています。 これが驚異の透明度と言われる理由。その水はそのまま飲むこともできるほどクリア。

シルフラ、オーロラ、間欠泉…大自然のパワー漲るアイスランド

シルフラ、オーロラ、巨大温泉…大自然のパワー漲るアイスランド
シルフラの楽しみ方はその透明度と地球の裂け目を感じる地形観察。生物はほぼいないので、6日間のツアーでもダイビングの日数は1日に設定されてます。 では、現地に滞在する残りの2日間、一体どのように過ごせばいいのでしょうか?
アイスランドは火山活動が活発な国で、間欠泉や地熱を利用した温泉などがたくさんある。 中でも有名なのが世界最大の露天風呂と言われているブルーラグーン。 底はパラオ・ミルキーウェイのような白い泥が体積しているため、温泉は美しい水色。泥には美肌効果もあり、入浴中に泥パックすることも可能。 プールバーならぬ「温泉バー」もありアルコ―ルの摂取もできます。
さらに、一度は見てみたい自然現象でトップクラスの人気を誇る「オーロラ」も出現する。アラスカなどは-40°の中、オーロラ待ちをしなくてはなりませんが、 ここ、アイスランドは-2°ほど。しかも、街の近くでも見ることができる穴場スポットなのです。
俗に言う「インスタ映え」ポイント満載のアイスランド。次のダイブツアーの選択肢に入れてみてはいかがですか?

Photo AlbumDive Site

  • 場所は首都のすぐ近く

    ここが絶景へのエントリーポイント

    シルフラがあるのは首都レイキャビクから車で40分ほど走った場所。ゴツゴツとした岩に囲まれた荒々しい景色が広がる

  • 年間2㎝。ここからゆっくり大西洋は広がっています

    シルフラ ここからゆっくり大西洋は広がっています

    プレートのちょうど裂け目になっているシフルラ。年間2cmづつ徐々に広がっている。この裂け目は大西洋へと繋がっている

  • 完全防備でエントリー

    完全防備でエントリー

    年間を通じて水温は2~3℃。器材はすべてレンタル可能。セッティングもガイドがやってくれる殿様ダイブスタイル

  • ダイバーだけでなくスノーケラーもやってきます

    ダイバーだけでなくスノーケラーもやってきます

    その神秘的な景観を見るため、ダイバーだけでなくノンダイバー、スノーケラーも多数やってきます

  • ゴツゴツした岩肌を満たすクリアな水

    ゴツゴツした岩肌を満たすクリアな水

    ここに流れ込む水は氷河から何年もかけて溶けた雪解け水。ゆっくりと岩肌から染み出すことにより濾過され非常にクリアに

  • 最低透明度80mの世界

    最低透明度80mの世界

    曇った日で80m、晴天の日には150m先が見えると言われているシフルラ。徐々にひらける視界に心が躍る

  • この光景を見るために!

    この光景を見るために!

    岩が裂け、地球の鼓動を目の当たりにすることができるシフルラ。この光景を見るために世界中からダイバーが集まります

  • 見渡す限りクリア。生物はいません

    見渡す限りクリア。生物はいません

    シフルラの水は安定した低温と不純物を限りなく含まないため栄養価が低く、生物はほぼ見られません

  • 一回目のダイビングは慣れることに徹しよう

    一回目のダイビングは慣れることに徹しよう

    シフルラは浅場と深場が何度か繰り返し登場、しかも淡水。 普段、ドライスーツを着なれていない方は最初のダイビングは 浮力調整とドライの扱いに慣れるため、カメラなど持たずにじっくり潜ることに専念する方がベター

  • 是非撮影したい名所の数々

    是非撮影したい名所の数々

    このように開けた場所の他、最大深度45mにもなるシフルラホールと呼ばれる洞窟や 大聖堂のような「シルフラカテドル」などの見どころがある。 ダイブ時間は約40分。気温が低い場合は50分1ダイブに変更になる場合もあります

  • 外よりも水中のが暖かいことも

    外よりも水中のが温かいことも

    冬季には平均気温が-3°にもなるアイスランド。年間を通じて2.3℃のシルフラは 外よりも暖かく感じることも
    また、ただでさえウエイトの量が増える装備だが、想像よりもドライの浮力があるので、 余分にウエイトを付けた方が良い(潜れないとそのまま水面を泳ぐことになる)

  • 通年潜れますがシーズンはお好みで

    シフルラ エキジット

    冬季はかなり低温になるため非常に寒いが、氷の洞窟やオーロラなどここでしか体験できないアクティビティも充実。
    7月~8月の夏季ハイシーズンは気温も10°前後で比較的暖かい季節。 日も長く観光する最も長い白夜の時期には、0時日の入り、午前3時には夜明け。観光には便利

Photo AlbumAfter Dive

  • 世界最大の露天風呂「ブルーラグーン」

    世界最大の露天風呂「ブルーラグーン」

    一周10分!もあるという露天風呂「ブルーラグーン」。天然の温泉ではなく、隣接する地熱発電所の排水を再利用した人口温泉。 バーもあり入りながらアルコールを飲むことも可能

  • 巨大な熱水の噴出が見事「ゲイシール間欠泉」

    巨大な熱水の噴出が見事「ゲイシール間欠泉」

    アイスランドには水蒸気や熱湯を噴出する間欠泉が何ヶ所か見ることができる。ここゲイシールもその一つで 一日に数回、最大60mにもなる温水が吹き上がる。近くにあるストロックル間欠泉も観光名所

  • 幻想的なブルーに囲まれる「氷の洞窟」

    幻想的なブルーに囲まれる「氷の洞窟」

    アイスランド東部、ヴァトナヨークトル氷河付近にある氷の洞窟。冬季のみ見ることができます。 レイキャビクからは距離があるため、一泊二日のツアーで行くのが一般的

  • 一生に一度は見たい!「オーロラ」

    一生に一度は見たい!「オーロラ」

    アラスカやフィンランドでは-40°にもなる冬季。 アイスランドでは-2°ほどなので比較的快適にオーロラ観賞が可能。 町から遠く離れなくても見られるのもうれしい

  • 世界で一番治安のいい国

    世界で一番治安のいい国

    首都・レイキャヴィークの街並。
    世界平和度ランキングでは近年1位をキープしているアイスランド。日本よりも治安が良いとされていて(日本は2017年10位) 女性の一人旅でも安心

  • 豊富な魚介、ラム肉が絶品

    豊富な魚介、ラム肉が絶品

    海産資源に恵まれたアイスランド。タラや手長海老が名産。日本で食べられているシシャモは アイスランドから多く輸入されている。のびのび育ったラムも絶品!地熱を利用したハウス栽培も盛んで野菜も豊富

シルフラに行きたい!という方はまずはこちらをチェック

シルフラに行きたい!という方はまずはこちらをチェック

ある程度の体力、スキルは必要。防寒グッズも万全に!
シルフラでダイビングするためには最低限下記のものが必要です
■年齢が18歳以上であること
■英語で行われるブリーフィングが理解できること
■オープンウォーターまたは同等の資格を持っていること
■ドライスーツを着用したダイビングの経験が証明できること
(ドライスーツスペシャリティ所持、もしくは過去2年に10回ほどドライスーツを利用したダイビングログがあること)
■妊娠していないこと
となります。また、エキジット後、器材を所持したまま300mほど歩く必要あり。ウエイトもそれなりにあるため、体力が必要になります。
冬季はかなりの寒さになるので、「耳がかくれる帽子」「上着の袖の上にかぶる手袋」などしっかりと防寒できる服装も用意したい。